2019年に施行された「働き方改革」により、各業界において、従業員の負担を考慮したワークスタイルや柔軟な勤務体系の形成が進んでいます。
しかし、建築業界では依然として、長時間の残業や休日出勤が当たり前となっているところが多いです。
建築は日本の産業のなかでも大きな役割を果たしているので、彼らの労働環境の改善が求められています。
そんな中、有効的な対策として注目されているのが「施工管理アプリ」です。
この記事では、施工管理アプリについて具体的に説明したのち、導入することのメリットやデメリットについてご紹介します。
1.そもそも施工管理とは?
ひとくちに施工管理といっても、実はいくつかの業務内容に分かれています。
そして、それらの詳細についてパッと頭に思い浮かべることは意外と難しいのではないでしょうか。
そこでこの章では、施工管理に関する代表的な業務内容について、具体的にご紹介します。
・安全管理
工事現場でよく「安全第一」という文言を見かけると思いますが、それだけ建築業界は常に危険と隣り合わせの仕事です。
そのような現場を少しでも安全にするため、厳密な安全管理が行われています。
具体的には、現場において事故が起こりそうな作業や場所を、「施工管理技士」という国家資格を持つ人が事前に確認・把握します。
そして情報を共有することで、事故を未然に防ぎ、職人や従業員が安全に作業できる環境を作るようにしています。
・品質管理
工事が設計通りに進んでいるのかをチェックするのも施工管理技士の重要な役割です。
適切な材料が使われているか、正しい規定に基づいて工事が行なわれているかを正確に管理することで、会社としての品質を維持することにも繋がります。
・工程管理
工事が予定通りに進んでいるかだけでなく、不足の事態が発生した場合に現場をうまく調整する業務もあります。
当たり前ですが、現場が雨や暴風などに見舞われた場合、工事が遅れてしまうことがあります。
そのような場合、スケジュールを変更したり、現場の人員を増やしたりすることで、工期の調整を行ないます。
現場の状況から適切な判断を下し、納期に間に合わせることは、お客様の信用を維持するという点で非常に大切です。
以上の説明を見て頂ければ、施工管理には多くの重要な業務があること、それを抜け目なく管理しなければならないことの大変さが分かるかと思います。
これらのことをふまえ、次の章では施工管理アプリについて説明していきます。
2.施工管理アプリとは
施工管理アプリとは、上述したような施工管理を円滑に進めるためのITツールです。
主な役割としては、現場写真や工事現場の情報を共有したり、見積書・請求書などの書類を作成したり、チャット機能によりコミュニケーションをとったりすることが挙げられます。
社内の従業員で情報を共有することが目的のアプリもあれば、外注の職人や業者と連絡を取り合うことが目的のアプリもあるなど、その用途はさまざまです。
また、外出先で簡単に利用できるようにするため、スマートフォンやタブレットでの利用に対応しているのも大きな特徴です。
3.施工管理アプリのメリット・デメリット
ここからは、施工管理アプリを導入することによるメリット・デメリットについてみていきましょう。
メリット
⑴情報の共有スピードが劇的に改善する
施工管理アプリの導入によるメリットとして、アプリ利用者間の情報共有が迅速になることが挙げられます。
具体的には、
・現場の写真を撮影した後、その場でアプリに共有できる
・外部業者と事前に情報を共有することで、打ち合わせの時間が短縮できる
・案件ごとの情報の整理が容易になる
などがあります。
⑵コミュニケーションにおけるストレスが低減される
⑴で述べたように、施工管理アプリを導入することで、情報の共有がスムーズになります。
そうすると、現場関係者が事前に情報を把握できるので、当日になって認識のズレが起きることはありません。
またチャットを使えば、案件情報を現場関係者に一斉送信することができるため、いちいち電話をかける必要もなくなります。
⑶データの管理が楽になる
勤怠状況の記入や現場写真の整理などをアプリ上で一元化することで、データの管理が非常に簡単になります。
情報を編集・更新するときもアプリ上で全て完結するので、手間をかけずにデータを管理することが可能になります。
⑷大幅なミスの減少
情報共有が正確になることで、現場でのミスの減少につながります。
また、ミスの減少により業務効率が上がるので、今までよりも多くの時間を確保することができます。
その結果、労働環境が整備され、現場数の増加や工事品質の向上を可能にします。
デメリット
⑴高い年齢層には運用が難しい
施工管理アプリはお客様に使っていただくことを念頭に考えているため、使いやすさを意識して作られてはいますが、建築業界には年齢層の高い人もそれなりにいるため、使ってもらえるまでに時間がかかります。
特に外部の業者と情報をやり取りする機能に関しては、操作方法を覚えるのに苦労する場合も多く、導入しても運用までなかなか行かないこともあります。
⑵長期的な運用に踏み切るかの判断が難しい
施工管理アプリに限らず、近年のITツールの競合はすさまじいです。
また今後、IT業界の建築業界・建設業界への参入が激化することが予想されます。
日本の産業で大きな役割を担っている建築・建設は、参入を狙っている企業にとって大きな市場だからです。
要するに、アプリは人気の入れ替わりが激しいので、つい最近まで有名だったアプリがすぐに廃れる可能性もあるわけです。
導入に踏み切ったとしても、いつまでもサービスが提供され続けるわけではないという点で不安定な手段であることを知っておきましょう。
まとめ
施工管理アプリは建築業界にとって多大なメリットがある一方、人によっては運用しづらかったり、サービスが長期間保証されているわけではないというデメリットもあるということをご紹介しました。
施工管理アプリが自社にとって本当に必要かどうか、業務状況やITツールへの抵抗度など、多角的な視点から判断することが必要になります。
我が社が運営している「足場オヤカタ」も、足場業者に特化した施工管理アプリなので、ご興味ありましたらぜひお気軽にお問い合わせください。