住宅やマンション、高層ビルなどの建設現場でよくみかける「足場」。
その組み立てや解体のお仕事をしている人が足場業者、いわゆる「とび職」と呼ばれる人たちです。
彼らは、普段私たちが当たり前のように利用しているお家や学校、お店、オフィスなど、さまざまな建物を「支えて」います。
また、建設・建築業界は日本を支える産業の中でも重要な役割を果たしているので、足場業者さんの貢献度は計り知れないです。
しかし、足場工事は高所での作業がつきものである上に、朝から夜まで肉体労働が続くお仕事なので、非常に大変です。
そのせいか、
「足場工事ってきついんじゃないの?」
「一瞬たりとも気が安まる瞬間がなくてツラそう…」
というイメージを持っている人もいるのではないでしょうか。
確かに上記のイメージは間違ってはいないと思います。
それでも、足場工事のお仕事にやりがいや魅力を感じて日々の業務に取り組んでいる足場業者さんは多いです。
そこで今回は、足場業者さんの知られざる魅力について、筆者の個人的な考えをふまえながらご紹介します!
1.足場工事の流れ
冒頭でも触れましたが、足場工事に対してハードな仕事であるというイメージを持っている人も多いと思います。
そんな足場業者さんの具体的な仕事の流れをイメージできた方が、彼らが感じるやりがいや魅力がわかりやすく伝わると思います。
そこで、まずは一般的な足場業者さんの1日のスケジュールについてご紹介します。
6:00~6:30 事務所に集合
集合時間は会社によってまちまちですが、出勤自体はかなり早めです。
8:00~ 作業開始、午前の作業
朝早くからいきなり体を動かすと危険なので、ラジオ体操などで準備運動をしているところが多いです。
12:00~13:00 昼休憩
1時間の昼休憩の他にも、午前と午後に1回ずつ、30分程度の休憩をとっているそうです。
13:00~17:00 作業再開、午後の作業
1日の作業を終えた後は、片付けをして事務所に戻るか、場合によっては現場から家に直帰します。
・・・あれ、思っていたほどキツくない?
確かに朝は早いですが、作業の開始自体は8時ですし、休憩も計3回確保されています。
また、17時には現場での作業が終わるので、残業が当たり前のブラック企業より労働環境は良さそうに思えます。
しかし、これはあくまで「予定・スケジュール」です。
実際の現場ではスケジュール通りに運ばないこともありますし、365日全く同じ条件で働くことができるとは限りません。
そこで次の章では、どのような点がきついのか具体的に説明します。
2.足場業者のツラさ
・腕力、体力が求められる
足場工事をする上で真っ先に思い浮かぶツラさがこれでしょう。
基本的に高所での作業が多いので、常に危険と隣り合わせである上に、重い足場材を1日に何十回も運ばなければなりません。
もし足場材を落とすようなことがあれば、周囲の作業員も危険にさらすことになるので、作業中は一瞬も気が抜けません。
・天候に振り回される労働環境
先ほど、足場業者さんは365日全く同じ条件で働くことができるわけではないと述べました。
その最たる例が、激しい天候の変化です。
足場工事は屋外の現場がメインなので、当然ながら天候の影響を受ける事になります。
そのため、真夏日や真冬日には過酷な環境下で作業しなければなりません。
また、雨や雪が降ると、視界が悪くなったり足元が滑りやすくなったりと一気に劣悪な環境になります。
大雨が降るとさすがに作業は中止になりますが、工期を調整しなければならなくなり、おのずと残業が増えることもあるので、現場の人間にとってはかなりツラいでしょう。
3.足場業者の魅力
ここまで、足場業者さんの1日の仕事の流れや、仕事をする上でのツラさについて説明しました。
日々の肉体労働に急激な天候の変化などが加わると、身体的にも精神的にも疲れがたまると思いますし、足場業者さんはどちらかというと裏方の仕事なので、モチベーションの維持も大変そうです。
しかしながら、多くの足場業者さんが自分たちの仕事に誇りを持って、辛い仕事にも負けることなく頑張っています。
そんな足場業者さんが自分たちの仕事に感じているやりがいや魅力とはいったい何なのか、筆者なりに考えたこともふまえつつご紹介します。
⑴若手が活躍できる機会が十分にある
現在、足場業界に限らず、建築・建設業界では職人不足が大きな問題になっています。
一方で、日本産業を支える建築・建設業界においては一定した需要があります。
そのような背景から、足場業界においても若手の職人が大いに重宝されています。
初めのうちは誰でも、基本的な仕事や雑用をこなすことになりますが、努力次第では現場の第一線で活躍することができます。
また、資格を取得するなどして知識や経験を積み重ねれば、職人としてさらにレベルアップすることができます。
⑵「命を守る仕事」という使命感から生まれる誇り
足場業者さんはさまざまな建物の現場において、私たちの生活を支えています。
言い換えれば、足場業者さんは私たちが不自由なく建物を利用するために、常に質の高い工事を求められています。
「自分たちは命を守る仕事をしている」という意識があるからこそ、強い使命感が生まれますし、人知れず生活を支えているところに「裏方の美学」ともいえる誇りを持っているのだと思います。
また、質の良い足場を組むことで大工さんから「作業しやすかった」と言われたときの喜びも、やりがいの一つではないかと思います。
⑶体を鍛えられる
足場業者さんに限らず、「ガテン系」と呼ばれる職種の人たちは、日々大変な肉体労働をこなしています。
そのため、屈強で健康的な肉体を手に入れることができます。
動くのが好きな方や、体を鍛えたい方にはいいお仕事かもしれません。
⑷人間としての成長
足場業者さんは常に周りの人とのコミュニケーションが求められる職業です。
その中で、ただ作業をこなすだけではなく、相手のことを考えてやりとりをすることが要求されます。
そういったことを通して、強い体を手に入れることに加え、人一倍思いやりのある心が備わるなど、人間性の成長が期待できるのではないかと思います。
4.まとめ
この記事では、足場業者さんならではの苦労や、それでも感じるやりがい・魅力についてご紹介しました。
私たちの生活を人知れず支えている足場業界の方々は、まさに「職人」と言えるでしょう。