さまざまな業種において必要になる、あるいは取得していれば仕事をする上で有利になる資格。
どの業界においても資格というものは数多くあり、それは足場業界においても例外ではありません。
しかし、建設・建築業界、とりわけ足場業界における資格を具体的にイメージするのはなかなか難しいのではないでしょうか。
また、この記事をご覧になっている方の中には、
「これからより上位の資格を取得して、足場職人としてレベルアップしよう」
と考えている方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、足場職人に関する数ある資格の中でも代表的なものをご紹介した上で、資格を取得することのメリットについて詳しく解説します。
1.資格の取得が欠かせない背景
足場職人の資格の中には、他の業界と同様に取得が必須ではないものも多くあります。
また、資格を取得するためには資格に関する知識や技術を身につけなければならないので、それなりの時間と労力を必要とします。
足場職人は普段の業務がハードなので、
「必須じゃないなら、別に時間割いてまで取得する必要はないのでは?」
という意見もあると思います。
しかし、資格取得に向けて日々努力している足場職人も中にはいます。
忙しい業務の合間を縫ってまで資格を取得しようと思う背景とは、一体何でしょうか?
⑴キャリアアップになる
資格を取得する際に、多くの足場職人が考えることだと思います。
上述したように、資格を取得するためには知識と技術が必要です。
裏を返せば、資格取得のために自らが蓄えた知識と技術は、今後自分が成長していく上での大きな武器になります。
そして実際に資格を取得することができれば、自分が知識と技術を持っていることの証明になるので、周囲からの信用が得られ、おのずとキャリアアップにつながっていくことでしょう。
そのような背景で、資格取得を目指す足場職人が多く存在します。
⑵独立開業につながる
足場職人の資格の中には、作業主任者など、現場を管理・統括する業務を行なうために必要なものもあります。
そのような資格を取得すれば、足場の親方として独立開業につながり、今まで以上のステップアップを実現することが可能になるでしょう。
2.足場職人に欠かせない資格
まず初めに、足場職人が資格を取得する背景についてご説明しました。
では次に、足場職人に欠かせない資格について、代表的なものを3つご紹介します。
・足場の組立て等作業主任者
足場の組立て等作業主任者とは、労働安全衛生法に定められた作業主任者の一つであり、国家資格になります。
ちなみに労働安全衛生法とは、労働者の安全と衛生についての基準を定めた日本の法律です。
足場の組立て等作業主任者は、専門の技能講習を修了した者の中から事業者によって選任される資格取得者を指します。
概要としては、ゴンドラの吊り足場を除く吊り足場や張り出し足場、高さ5m以上の構造の足場の組立て・解体または変更に際して、労働災害の防止などを行なう現場の指揮責任者を務めています。
資格の取得により、対象の足場の組立て・解体などを行う場合に必要な知識を習得することができるので、現場管理者としてキャリアアップするには欠かせない資格です。
受験資格は、以下の通りです。
・足場の組立て、解体または変更に関する作業に3年以上従事した経験を有する者
・学校教育法による大学、高等専門学校または高等学校において土木、建築または造船に関する学科を専攻して卒業した者で、その後足場の組立て、解体または変更に関する作業に2年以上従事した経験を有する者
・その他、厚生労働大臣が定める者
資格の取得には技能講習の修了が必須です。
技能講習の内容としては、
・足場の組立て・解体・変更等に関する知識
・作業者に関する教育等に関する知識
などいくつか存在し、最後に修了試験を受験して合格することで資格取得となります。
・とび技能士
とび技能士とは、とび職に関する能力を正式に認められる国家資格であり、名称独占資格でもあります。
名称独占資格とは、「資格習得者以外の者に対するその資格の呼称の利用が、法令で禁止されている資格」のことです。
つまり、(資格取得に相当する知識・技術の有無に関わらず)とび技能士の資格を持っていない人が自分のことをとび技能士と呼ぶことはできません。
概要としては、とび作業の段取り、仮設の建築物の組立て・解体、掘削、土止め、地業といった作業を行ないます。
とび技能士には1級〜3級まで等級があり、受験資格は以下の通りです。
3級
不問。誰でも受験可能!
2級
2年以上の実務経験、または3級合格者
1級
7年以上の実務経験、または2級合格後2年以上の実務経験、または3級合格後4年以上の実務経験
3級は誰でも受験できる上に国家資格なので、余裕のある足場職人は積極的に資格取得を目指すことをおすすめします。
なお、1級と2級に関しては、個人の学歴によって実務期間が免除されたり、期間の変更があったりします。
・建築物等の鉄骨組立て等作業主任者
建築物等の鉄骨組立て等作業主任者とは、足場の組立て等作業主任者と同じく、労働安全衛生法に定められた作業主任者の一つで、国家資格になります。
この資格の取得者も、専門の技能講習を修了した者の中から事業者によって選任されます。
概要としては、建築物の骨組みまたは塔であって、高さ5m以上の金属製の部材によって構成されるものの組立て・解体または変更に際して、労働災害の防止などを行なう現場の指揮責任者を務めています。
作業の方法だけではなく、器具や工具の安全管理、不良品設備の排除など現場の管理において重要な役割を果たすので、足場職人には欠かせない資格です。
受験資格は、以下の通りです。
・建築物等の鉄骨の組立て・解体または変更に関する作業に3年以上従事した経験を有する者
・学校教育法における大学、高等専門学校または高等学校において土木、または建築に関する学科を専攻して卒業した者で、その後建築物等の組み立てなどに関する作業に2年以上従事した経験を有する者
・その他厚生労働大臣が定める者
資格の取得には技能講習の修了が必須で、上記の作業に関する専門知識を身につけた上で修了試験に合格することで、資格を習得できます。
3.資格を取得するメリット
ここまで、足場職人に欠かせない資格について、代表的なものを3つご紹介しました。
どの資格も取得するのにそれなりの時間と労力はかかりますが、資格の勉強を通して得られる知識や技術は今後大いに役に立ちます。
また、受験資格が不問の国家資格もあるので、キャリアアップのためには是非とも取っておきたいところです。
それでは、足場職人が資格を取得することで、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
この章で詳しく解説します。
①仕事の幅が広がる
資格を取得する最大のメリットがこれです。
資格を取得することで、特定の分野に関する専門知識や技術を身につけることができます。
つまり、高度な作業を行なえるようになり、資格を持っていない足場職人に比べて差別化を図ることが可能になります。
また、取得した資格に関する知識と技術の範囲が広ければ広いほど、自分ができる仕事の領域が拡大します。
その場合、工事現場において様々な業務を任せてもらえます。
②どこに行っても仕事がもらえる
資格の取得は、自分が特定の分野に関する十分な知識や技術を兼ね備えているということが公式に証明されたことを意味します。
つまり、資格を持っていることが周囲からの信頼を得ることにつながるのです。
そのため、どこの現場に行っても高度な作業の責任者に任命してもらえるなど、安定的に仕事をもらうことが可能になります。
さらに、多くの仕事をこなして経験を積み重ねれば、より多くの信頼と仕事を獲得することになるでしょう。
③給料が高くなる
足場業界では、基本的に日給制や月給制がとられています。
つまり、経験や実力によって給料が変化するのです。
資格を持っている足場職人は、手に入れた知識や技術を用いて多くの仕事をこなします。
そうすると、資格を持っていない足場職人に比べて、経験や実力が自らに身についていくスピードが速くなります。
その結果、より高度の仕事をたくさん任せてもらえるようになり、給料も高くなります。
まとめ
この記事では、足場職人に欠かせない代表的な資格の紹介と、それらの資格を取得するメリットについてご紹介しました。
一流の資格となると、それなりに時間がかかりますし、簡単な道のりではないですが、長期的なキャリアを考えると、取得をして損することはありません。
早期の資格取得により若いうちから多くの収入を得るケースも珍しくないので、ぜひ資格の取得を検討してみてはいかがでしょうか。